甲状腺の手術が必要と言われたら
手術を要するいくつかの甲状腺疾患がありますが、手術はいくつかの合併症や後遺症を引き起こすリスクのある侵襲的治療法です。
手術の必要性を確認しましょう
まずは、本当に必要な手術なのかについて説明を受けて納得することが大事です。
甲状腺にかぎりませんが、手術の適応には、以下のように大雑把には区分されます。
- 絶対的適応(手術をしたほうが良い人)
- 相対的適応(できたら手術をしたほうが良い人)
- 適応なし(手術をしなくてよい人)
- 禁忌(手術をしないほうが良い人)など
多くの甲状腺疾患は、急速に悪化することは少ないので、手術をしたほうが良い人でも、緊急の対処を要することは稀で、考えたり相談したりする時間が十分あることが多いです(一部例外あり)。
同じ病気でも種類によって適切な手術が変わります
甲状腺の手術を要する疾患の代表は甲状腺がんです。
甲状腺がんにはいくつかの種類があり、どの甲状腺がんを念頭においているかで、必要な(適切な)手術内容が異なります。
1cm以下の小さながん(低危険度微小乳頭がん)は、手術をせずに経過観察することが増えてきましたが、それ以外のがんを疑う甲状腺のしこり(結節)は、基本的には手術を勧められることが多いです。
それ以外には、良性を疑うしこりでも、とても大きなもの、バセドウ病で甲状腺腫が非常に大きな場合や内服薬(抗甲状腺薬)が無効、あるいは副作用のために継続できない場合などが考えられます。
整理しておくポイント
自分が、
- ①何の病気で
- ②どうして手術が必要で
- ③どんな手術が勧められているのか
をまずは整理するのが良いと思います。
いろいろな不安・心配がつきもの
手術の痛みについて
甲状腺の手術を局所麻酔で行うことは、最近ではほとんどなくなりました。
全身麻酔で意識のない中での手術になりますので、手術中は、痛くもないし辛くもありませんのでご安心下さい。
そうはいっても、麻酔から覚めれば、痛みは感じますし、麻酔薬の影響で、悪心を感じる人も少なくありません。
手術の必要性を理解・納得しておきましょう
手術室に入るまでの緊張も決して楽とはいえず、手術を勧められてから、いろいろなことが心配になることは当然のことです。
よって、少なくとも、自分が“手術をやったほうが良い=相対的手術適応”状態以上にあることの理解と納得は十分にしておきたいところです。
ご自身にとってのリスクを医師に聞いておきましょう
甲状腺の手術術式は、甲状腺を切除する範囲(全摘、準全摘、亜全摘、葉峡部切除、葉切除)とリンパ節を切除(郭清)する範囲(中央区域、外側区域、縦隔)で決まります。
手術の内容や病状によって、起こりえる合併症や後遺症の内容、リスクの程度は異なりますので、”私”のリスクを知るには、手術を担当する外科医に直接説明を聞くのが適切であるとは思います。
ただし、説明を受ける前に、ある程度の知識を入れておくことで、より理解が深まるとは思いますので、一般的な知見として書き記していきます。